ダイエットで朝食を抜くことは糖尿病のリスクを高める? 12.8万人を対象に研究

【役に立つオモシロ医学論文】

糖尿病は、世界的に増加している生活習慣病のひとつです。日本は、世界で9番目に糖尿病の患者が多い国で、その原因として食習慣の欧米化などが挙げられています。食習慣と糖尿病の関連性を検討した研究データは、これまでにも数多く報告されています。近年では、食事内容だけでなく、食べる速度や食事のタイミングなど、食行動に関する研究データも増えてきました。

ただし、一連の研究報告は、主に欧米人を対象に実施されていました。

日本人は、欧米人と比較すると肥満患者が少なく、BMI(体重と身長に基づく体格指数)も低い傾向にあります。そのため、欧米人を対象とした研究成果が、そのまま日本人にも当てはまるかどうかについては議論の余地がありました。そんな中、日本人における食行動と糖尿病の関連性を検討した研究論文が、アジア糖尿病学会誌の電子版に2024年4月2日付で掲載されました。

パナソニック株式会社に勤務する従業員の健康診断データを解析したこの研究では、糖尿病を患ったことがない12万8594人(平均44歳、BMI22.6)が対象となりました。研究参加者に対して、朝食の摂取状況、夕食後の間食、就寝前における食事の摂取状況などが調査され、糖尿病の発症リスクが検討されています。

平均で6.4年にわたる追跡調査の結果、6729人が糖尿病を発症しました。糖尿病の発症リスクは、朝食を食べない人で1.2倍、早食いの人で1.62倍、夕食後に間食を摂取する人で13%、統計学的にも有意に増加していました。糖尿病のリスク増加はまた、BMIが25未満の人でより強く関連している可能性も示されました。

論文著者らは「日本人のようにBMIが低い集団では、食行動が糖尿病の危険因子になり得る」と結論しています。

(青島周一/勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰)

2024-05-05T00:43:36Z dg43tfdfdgfd