五月病は、新年度からの新しい環境や季節の変わり目といった変化がストレスになり、心や体がついて行けなくなる状態のことです。なぜ五月病は起こるのでしょうか。
原因は3つあります。
1つ目は環境の変化です。新年度の始まりから1カ月のこの時期、疲れがたまってくる時期でもあります。また、新年度には環境変化のある人も多いでしょう。仕事では部署異動があったり、家族では進級や子どもの巣立ちなど、大きな環境の変化が起こる時期です。特に、更年期世代は子どもが巣立ちを迎える年代でもあります。こうした変化が知らず知らずのうちにストレスになっていることがあります。
2つ目の原因は、季節の変化です。春から夏にかけての変動はとても大きなものです。気温が大きく上がるとともに、梅雨の時期や、台風到来時には気圧の激しい変動もあります。特に気圧の変動による不調は「気象病」とも呼ばれますが、それほど自然から私たちは大きな影響を受けているのです。
3つ目の原因は、ホルモンバランスの変化です。更年期には体内で女性ホルモンがダイナミックに変動します。ホルモンバランスの変化があると自律神経が乱れやすくなり、五月病の症状が強く出ることがあります。
五月病はほうっておくと、本格的なうつ病に進行することもあります。まずはこの季節を前向きに乗り切れるよう、自分でできる対策ケア方法を3つ紹介します。
五月病対策ケア1つ目は、ストレスを発散する「1対2の呼吸法」です。息を吸う2倍の長さでゆっくりと息を吐き出す方法です。
例えば、4秒かけて息を吸う
→2倍の8秒かけて口からゆっくり息を吐き出す
という方法です。この呼吸を何回か繰り返します。
1対2の呼吸法は、自律神経に働きかけて、体がリラックスするときに働く副交感神経を優位にしてくれます。短時間でとても高いリラックス効果が得られ、どこでもできる方法ですので、ぜひ試してみて下さい。
3つ目の対策ケア方法は、ツボ押しケアです。体調がよくないと、「運動しましょう」「外に出て歩きましょう」といったアドバイスをもらっても、「そんな元気がないから困っているんです…」という気持ちになることもあるでしょう。そのようなときは、簡単にできるツボ押しケアがおすすめです。
今回紹介するのは、「神門(しんもん)」というツボです。
神門は、手首の手のひら側、小指側にできるくぼみにあるツボです。手首を少しそらすと、手首を横に走るしわの下あたりにあります。ここに反対の手の親指の腹を当てて、ぐっと5秒ほど押してみましょう。息を吐き出しながら、気持ちいいと思う程度の強さで押します。
反対側の手でも行います。1日に5セットほど行うとよいでしょう。
自律神経を整えて、気持ちを落ち着けるような働きが期待できます。
五月病になってからのケアをお伝えしてきましたが、五月病になる前にできることもあります。それは自分の「HAPPYリスト」を作ってみるということです。
HAPPYリストは、自分自身が心地いいな、快適だなと思える、つまり自分が喜ぶことを書き出したリストです。例えば、「丁寧に入れたコーヒーを飲むと心が落ち着く」「お気に入りのカフェで朝ごはんを食べると元気が出る」「ある映画を見ると元気になれる」など、どんなことでもかまいません。自分がご機嫌になれることをリストアップしておきます。
しんどい状態になってしまうと、何もやる気が起こらなくなるものです。そんなときに「何かやろう」とやることを考えて決めること自体、とてもエネルギーが必要です。あらかじめリスト化されていれば、そこから選ベばよいので行動しやすくなるものです。
何もやる気が起こらなくなってしまうときこそ、現状を変えるために、HAPPYリストにある最も簡単そうなこと、今これならできるかな、ということをやってみる。そうすると気分が変わることがあります。HAPPYリストは五月病に関わらず活用できますので、ぜひ作ってみてくださいね。
永田京子
NPO法人 ちぇぶら代表理事、更年期トータルケアインストラクター1,000名を超える女性たちの調査や医師の協力を経て “更年期対策メソッド”を研究・開発・普及。口コミで広まり、企業や医療機関など国内や海外で講演を行い述べ3万人以上が受講。2018年カナダで開催の国際更年期学会で発表。著書「女40代の体にミラクルが起こる!ちぇぶら体操(三笠書房)」、「はじめまして更年期♡(青春出版社)」。
2024-05-04T11:37:01Z dg43tfdfdgfd