天皇ご一家はこれまで、クラッシックなどの演奏会を鑑賞されたり、公の場で楽器を演奏されたりするなど、長年音楽に親しまれてきた。そこで、ご一家の音楽や楽器に関するエピソードを振り返る。
【写真】天皇陛下が「奇跡のビオラ」を掲げられるお姿や、同じ演奏の舞台に立たれる天皇陛下と愛子さま
2024年5月29日、東京都千代田区の紀尾井ホールを訪れ、ビオラ楽曲のコンサート「ヴィオラスペース2024」を鑑賞された天皇ご一家。世界的なビオラ奏者である今井信子さんの提唱で始まった同演奏会は、1992年から開催され、今年で32回目となる。
ビオラを演奏する天皇陛下は、皇太子時代からたびたび鑑賞されており、皇后雅子さまのご鑑賞は1998年以来で、愛子さまは初めてだった。
演奏終了後、陛下は「ますますビオラが好きになりました」と関係者に感想を話されていたという。
同演奏会をご一家で鑑賞されるのは初めてだったが、2023年8月に、東京・赤坂にあるサントリーホールで行われた、今井信子さんの80歳を記念して開かれた演奏会も、ご一家で鑑賞されている。
天皇陛下が40年以上続けられているビオラの演奏。ご公務の際にも音楽に親しまれていることがうかがえる場面があった。全国植樹祭に出席するため、2024年5月25日に岡山県に訪問された際、岡山市の県立岡山工業高校でジュニアオーケストラの練習を見学された天皇皇后両陛下。天皇陛下が指揮者に「私もビオラを弾いています」とお話しになり、雅子さまが笑顔で「弾いてみたら」とすすめられ、和やかな雰囲気になったという。
2023年10月、石川県で開催された国民文化祭と全国障害者芸術文化祭の開会式に臨まれ、式典後にオープニングステージの出演者と懇談されたときも、雅子さまがピアニスト・黒崎菜保子さんに、「陛下もピアノをなさるんですよ」と話されていたという。
2024年2月に開かれた記者会見で天皇陛下は「ビオラの演奏については、最近はなかなか練習の時間が取りにくくなってはいますが、少しずつ続けており、ビオラに限らず、音楽からは多くの癒やしと力をもらっているように思います」と述べられている。
2023年6月3日、全国植樹祭に出席するため、岩手県を訪問された天皇皇后両陛下。陸前高田市にある東日本大震災の追悼・祈念施設で供花、拝礼され、津波で唯一残った「奇跡の一本松」を視察された。天皇陛下にとって「奇跡の一本松」には特別な思いがある。
「第73回全国植樹祭」に出席される前日に、東日本大震災の追悼・祈念施設で供花、拝礼され、津波で残った「奇跡の一本松」を視察された。
2013年7月、学習院OB管弦楽団の定期演奏会で、天皇陛下(当時は皇太子)は「奇跡の一本松」の一部などで作られた「津波ビオラ」を演奏された。演奏を終えた天皇陛下は、ビオラを掲げられたが、その裏には「奇跡の一本松」が描かれていた。
今年のお誕生日の会見で、この「津波ビオラ」について触れられている。
「『奇跡の一本松』のモニュメントを初めて実際に見ることができ、全国植樹祭の記念式典でも『奇跡の一本松』の遺伝子を受け継ぐ南部アカマツの苗木を植えることができました。また、記念式典では、『奇跡の一本松』を用いて製作されたいわゆる『津波ビオラ』などで構成される弦楽四重奏を聴くことができ、以前私自身が、そのビオラを演奏会で弾いたことを思い出しました。この地域がこれまで辿ってきた困難を思い起こしながら、全国植樹祭が開催されるまでに復興が進んできたことを、雅子と共に心から嬉しく思いました」
愛子さまは学習院初等科で管弦楽部に入部され、チェロを選ばれている。2013年4月、天皇陛下(当時は皇太子)と学習院の演奏会「オール学習院大合同演奏会」で初めての共演が実現した。初等科からOBまで約300人と一緒にエルガーの『威風堂々』を披露され、雅子さまは観客席から大きな拍手を送られた。
コンサートでの初共演は、天皇陛下にとって愛子さまのご成長を感じられた良き思い出となっただろう。
2024-06-11T10:13:15Z dg43tfdfdgfd