【研究から明らかに】食料危機を救う?“竹の芽”に、牛乳のタンパク質に似たタンパク質が見つかる

学術誌『Trends in Food Science & Technology』に掲載された最新研究は、竹が世界で増え続ける人口の重要な食料源となり得ることを示唆した。中国の研究者たちによると、“竹の芽”は牛乳に匹敵する高いタンパク質含有量を誇り、多くの野菜よりもアミノ酸含量が高く、さらに健康効果も期待できるという。“バンブーミルク”といった新たな食品が登場する可能性が出てきた。

竹の驚くべき潜在能力

中国の人々は常に竹を上手に活用し、数世紀にわたり、書籍、武器、楽器、衣類などさまざまな用途に利用されてきた。中国は400種類以上の竹を有しており、中国の総森林面積の約3%を占めている

この竹の食用部分である芽が特に今、注目されている。最新の研究によれば、竹の芽は100グラムあたり約15〜20%のタンパク質を含んでおり、これは牛乳と同等の含有量だ。また、同じく100グラムあたりには約20〜25%の炭水化物が含まれ、食物繊維も豊富に含まれている。さらに、竹の芽は鉄やビタミン類も含み、栄養価の高い食材であることが確認されている。このほか、竹の芽は抗酸化作用や抗菌活性、がんの抑制効果、肥満や糖尿病の予防など、健康上の利点が期待できる。

竹の芽が将来の食料問題解決の糸口に?

現時点では、バンブーミルクは製造されていないが、急成長中のデイリーフリー(乳製品不使用)市場を見れば、ナッツミルクからヘンプミルクまで、さまざまな植物のミルクが存在し、その可能性は期待できる。バンブーミルクや竹の芽を食品として普及させるには、いくつかの課題がある。そのひとつは、竹に含まれる毒性が強いシアン化物で、適切な処理が必要となる

そういった今後の課題はあるものの、竹の芽やその加工食品が持つ機能性や栄養価は、将来の食料問題解決の糸口となり得る。特に、竹は地球上で最も成長が速く、再生が早い植物のひとつであり、サスティナブルフードとして大きな期待が寄せられている。竹の芽を活用した食品産業が拡大し、バンブーミルクなどの製品が世界的な主流食品となる日が来るかもしれない。今後の研究や実用化がますます注目されている。

現在の国連の推計では世界人口は80億人で、2050年までに地球上の人口は約100億人に達すると専門家は予測している。現在の食料システムは動物に依存しすぎており、サスティナブルなシステムへ移行することが重要な課題だ。竹の今後の可能性に期待したい。

出典:

Bamboo Milk Could Replace Dairy and Help Feed the World, New Research Finds

Another Sustainable Alt Protein Source: Bamboo Shoots Found to Contain Proteins Similar to Cow’s Milk

Study finds bamboo shoots full of high protein, similar to cow’s milk

山口華恵

翻訳者・ライター。大学卒業後、製薬会社やPR代理店勤務を経て10年間海外(ベルギー・ドイツ・アメリカ)で暮らす。現在は翻訳(仏英日)、ライフスタイルや海外セレブリティに関する記事を執筆するなど、フリーランスとして活動。趣味はヨガとインテリア。

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