更年期になると骨折しやすくなる?予防のために取り入れたい食品は|管理栄養士がアドバイス

更年期になると骨粗鬆症になりやすい?

更年期とは

更年期は、閉経前の5年間と閉経後の5年間の計10年間の期間のことです。閉経のタイミングは個人差があり、早い人では40代、遅い人では50代といわれています。更年期になると、卵巣の機能が低下するとともに女性ホルモンが減少していきます。女性ホルモンには主にエストロゲンとプロゲステロンがあり、このうち骨の健康に関わるのがエストロゲンです。エストロゲンが減少すると、ほてりやめまいなどさまざまな症状が現れ日常生活に支障をきたす「更年期障害」を引き起こす恐れがあります。さらに、骨粗鬆症のリスクも高まります[1,2]。

骨粗鬆症とは

骨粗鬆症とは、骨代謝のバランスが崩れることで骨がもろく骨折しやすい状態のことです。通常、骨は骨芽細胞によって骨が新しく作られるのと同時に破骨細胞によって骨が壊されることで、新しく作りかえられています。しかし、骨芽細胞と破骨細胞のバランスが崩れると、骨量が減少し骨がもろくなります。エストロゲンはこの骨代謝のバランスを保つのに関わっているため、減少すると骨量が減少し骨粗鬆症を招いてしまうのです[2,3]。

骨粗鬆症の推定患者数は、男性で約300万人・女性で約980万人となっており、女性に多いことがわかります。骨粗鬆症は加齢や栄養不足などが原因とされますが、女性に多いのは女性ホルモンも大きく関わっているといえるでしょう[4]。

骨の健康のために取り入れたい食品とは?

骨の健康に大きく関わる栄養素は、カルシウム・ビタミンD・ビタミンKです。カルシウムは骨の元となるミネラル、ビタミンDはカルシウムの吸収を促進するビタミン、ビタミンKはカルシウムを骨へ取り込むのを助けるビタミンです[5]。

それぞれの栄養素が含まれている食品は、以下のとおりです。

・カルシウム…豆腐・チーズ・小松菜 など

・ビタミンD…イワシ・きくらげ・しらす など

・ビタミンK…納豆・ひじき・ほうれん草 など

その中でも、特に取り入れたい食品をいくつかご紹介します。

チーズ

チーズをはじめ乳製品にはカルシウムが含まれているだけではなく、吸収率もよいといわれています。特にカルシウムは女性に不足しがちな栄養素であるため、普段食べない方は取り入れてみるのはいかがでしょうか。ただし、チーズはカロリーが多く含まれているため、食べ過ぎに要注意です。まずは、個包装になっているチーズを食後やおやつに1個取り入れてみるのがおすすめです[6,7]。

しらす

しらすはビタミンDだけではなく、カルシウムも含まれているため、おすすめの食品の一つです。ご飯やサラダの上にのせたり、酢の物やパスタにあわせたりしてもおいしく食べられます。ただし、塩分が多く含まれているため、しらすも食べ過ぎに注意しましょう[6]。

ひじき

ひじきは、カルシウムやビタミンKを多く含んでいる食品です。乾物のひじきは調理するのに手間がかかるため、忙しい方にとっては取り入れにくい食品かもしれません。最近ではコンビニやスーパーでひじきの煮物などのひじきを使った惣菜が販売されているので、これらを利用してみるのもよいでしょう。

さまざまな食品を取り入れて骨の健康を維持しよう

骨に必要な栄養素を補うために特定の食品ばかり食べていては、栄養バランスが偏ってしまい、かえって健康を損なう可能性があります。今回ご紹介した食品だけではなく、さまざまな食品から栄養素を補うようにしましょう。

【参考文献】(2024年4月21日閲覧)

[1] 公益社団法人 日本産科婦人科学会, 更年期障害

[2] 一般社団法人 日本内分泌学会, 閉経後骨粗鬆症

[3] 厚生労働省, e-ヘルスネット, 骨粗鬆症

[4] 公益財団法人 骨粗鬆症財団, 数字で見る骨粗しょう症

[5] 厚生労働省, e-ヘルスネット, 骨粗鬆症の予防のための食生活

[6] 文部科学省, 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

[7] 厚生労働省, 令和元年国民健康・栄養調査結果の概要

一ノ木菜摘

管理栄養士/ライター。短大卒業後、病院で栄養士として働きながら管理栄養士免許を取得。その後は病院の管理栄養士やコールセンターなどの経験を経てライターとして活動を始める。ダイエットや食品、メンタルなどのヘルスケアについて論文などの科学的根拠をもとにコラムを執筆している。

2024-04-22T10:35:01Z dg43tfdfdgfd