アンチエイジングの鍵は生涯学習? 学び続けることが寿命を延ばす秘訣

【役に立つオモシロ医学論文】

これまでに報告されている研究データによれば、修学歴(教育を受けた年数)が長い人では、病気や死亡のリスクが低く、健康寿命が長い傾向にあります。

近年では、老化速度を遺伝的に調査する手法が開発されており、修学歴が長い人では老化速度が低くなる可能性も報告されていました。

一方で、高等教育を受けることは、社会・経済的な地位の向上や医療サービスの積極的な利用、健康増進に適した生活環境や社会ネットワークを構築しやすい環境を生み出し、これらの環境要因が修学歴とは無関係に寿命を延ばしている可能性もあります。そのため、教育が健康に与える直接的な影響についてはよく分かっていませんでした。

そのような中、修学歴の変化と老化速度の関連性を検討した研究論文が、米国医師会が発行しているオープンアクセスジャーナルに2024年3月4日付で掲載されました。

この研究では、米国で実施されたフラミンガム心臓病研究に参加した1652人(親集団)および、その子供1449人(子集団)が解析対象となっています。健康状態に与える環境要因の影響を小さくするために、親集団と子集団の最終学歴から見積もられた2世代間における修学歴の変化と老化速度の関連性が解析されました。なお、老化速度は遺伝子の微細な変異状態によって評価されました。

15年にわたる追跡調査の結果、修学歴が短く変化した場合と比べて、長く変化した場合では、老化速度が統計学的にも有意に減少していることが示されました。

具体的には、修学歴が2年追加されると、老化速度が2~3%遅くなりました。

論文著者らは「長い修学歴を促すことが老化のペースを遅らせ、長寿をもたらす可能性がある」と結論しています。

(青島周一/勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰)

2024-04-21T00:45:34Z dg43tfdfdgfd