なぜ、いま「コーチ」が必要なのか? エグゼクティブコーチに聞く

【当事者に聞くコーチング】#1

いまは「自己責任」の時代。すべての行動は自分で情報を集め、分析して、行動に起こし、その結果の責任は自分が負う。他人任せでは生きられない時代だ。だからこそ、自分の目標達成を支援し、より理想的な未来を導いてくれる「コーチ」の存在が貴重となる。コーチは、「相手の意思を問いかけて聞く」ことにより、自分が本当に望む目標や理想に気づかせてくれて、自発的な行動を促し、心の安定・健康にも寄与してくれる。

こうしたコーチの仕事のことを「コーチング」といい、いまはスポーツだけでなく、起業、受験、演技などさまざまな分野でのコーチングが重宝されている。最近は年齢に限らず独立志向が強い人が少なくないことから、今回は主にベンチャー起業やスタートアップ起業の経営者向けのエグゼクティブ・コーチである和気香子氏にコーチングの実際を語ってもらった。

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WHO憲章では、「健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが 満たされた状態にあること」と定義しています。 肉体だけではなく、精神や社会も含めています。たしかに、病気ではなくても、仕事がうまくいかなくて落ち込んでいる時、人間関係で問題を抱えている時などには、「健康だ」と言い切れない気がしませんか?

■対話で目標や夢を明確にし、「正解」を得る「手伝い」をする

コーチングは、受ける方(クライアント)が、夢や目標を叶え、精神的・社会的に満たされている状態を実現するお手伝いをするものです。コーチが質問をし、クライアントが答える対話を通じて行います。対話といっても、堅苦しいものではなく、安心できる空間、カフェでお喋りをするようなイメージです。そして、クライアントが持つ悩みについてアイディアやヒントを見つけ出します。目標や夢が分からない、目標や夢は明確だが実現する方法が分からない、課題・悩み・迷いがあって前に進めない、実現をスピードアップしたいなどの悩みが多いです。

「お手伝いをする」と書いた通り、コーチは正解を提示しません。誰にでも通用する正解はないと考えているからです。その人のその時点の状況に対しての正解があるだけで、試行錯誤した後、「これが正解だ!」と気づくのです。コーチは、試行錯誤するプロセスをお手伝いします。知識や情報を共有することや選択肢としてアイディアを提案することはありますが、決めるのはクライアント自身です。

現在は「VUCA」の時代と言われます。変動性(Volatility)、不確実性(Uncertainty)、複雑性(Complexity)、曖昧性(Ambiguity)の頭文字を取って、VUCAの時代です。将来を予測することが困難な時代。正解や前例がない中でも、自分で情報を集め、考え、仮説を立て、実行することが必要です。コーチは、そのプロセスを、伴走しながら一緒に行います。コーチは批判や非難をせず、常にクライアントの味方であり、応援団としてあり続けます。先が見えづらく、正解のない中を進んでいくには、そんな存在がいると心強いものです。

なかなかイメージしにくいでしょうから、次回からはクライアントの声を紹介していきます。(つづく)

(和気香子/エグゼクティブ・コーチ)

2024-05-04T00:54:24Z dg43tfdfdgfd