「おつり投資」って何? サービスの仕組みと始める際の注意点をお金のプロが解説

貯金は苦手だけど資産形成はしたい、そんな人におすすめしたいのが「おつり投資」です。おつり投資であれば普段の買い物をするなかで少しずつお金を貯めることができ、おつり貯金よりもお金を増やせる可能性があります。そんなおつり投資の仕組みとサービスの選び方について、節約アドバイザー・ファイナンシャルプランナーの丸山晴美さんに教えてもらいました。

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おつり投資とは

クレジットカードや電子マネーで買い物の支払いをした際、500円や1000円などキリのいい額で支払ったことにし、差額を積み立てて投資に回すのが「おつり投資」です。

家計簿アプリなどと連動して、1か月のおつりに当たる額が毎月自動で引き落とされ、最初に自分で設定した運用方針やロボアドバイザーによる運用によって自動で投資が行われます。買い物をするだけで自動的に資産形成が可能になる、投資初心者でも取り入れやすい投資サービスです。

おつり投資はおつり貯金よりも夢がある?

おつりを積み立てていく、という点ではおつり貯金も似ています。

しかし、郵便局のATMでは硬貨1枚から手数料がかかるようになったことと、他の銀行でも1日のATMでの無料預入枚数が制限されるなど何かと不便です。しかも硬貨を預け入れできるATMは銀行の窓口がある店舗のATMであることがほとんどのため、わざわざ営業時間内に預け入れをしにいかなければならないため、おつり貯金は貯まる金額に対して、かかる費用や労力が見合いにくいといえます。

また、貯まった資金は自分で投資に回さない限りは、利息の付かない預貯金口座に眠ったままとなってしまう点もデメリットでしょう。

一方、おつり投資も一定の手数料はかかりますが、預け入れなどの手間はなく、普段お金を使うのと同じ感覚で積み立てが自動で行われるため、がんばって小銭貯金をせずとも貯めることができ、さらに運用次第では増やすことができます。

おつりに回す端数は自分で選べる

おつり投資では、「おつり」にあたる額は自分で選ぶことができます。例えば、100円単位で設定していた場合は、280円の買い物をしたときは300円で計上され、20円がおつり投資に回ります。500円単位としていた場合は、220円がおつりに、1000円単位なら720円がおつりの扱いになります。

金額を高めに設定しておけば、毎月積み立てられる額は大きくなりますし、金額を低めに設定しておけば、積立額は小さくなるものの、引き落とし時の負担も小さくなります。最初は小さい金額で初めてみて、少しずつ金額を増やせば、無理なく投資の割合を増やしていくことができますよ。

おつり投資のサービス

おつり投資のサービスとして有名なのは「マメタス」「トラノコ」の2つ。それぞれ、資金の運用方法や手数料、サービス開始に必要な条件などが異なります。運用額や、今使用している家計簿アプリなどによって、適したサービスは異なりますので、よく調べたうえで自分に合ったおつり投資サービスを選びましょう。

ロボアド投資が可能なマメタス

ウェルスナビ株式会社が運営する「マメタス」の特徴は、貯めたおつりをロボアドバイザー「ウェルスナビ」が運用してくれる点。通常のウェルスナビでの投資と同様に、自分のリスク許容度に合った投資先を自動で選んで運用してくれます。

マメタスのサービス自体には手数料がかかりません。ただし、貯めたおつりをウェルスナビで運用する際に約1%の手数料がかかるほか、1万円以上貯まらないとウェルスナビには送金されず、翌月に持ち越しとなります。

また、おつり投資の開始にあたっては家計簿アプリとの連携が必要ですが、連携できる家計簿アプリは2023年10月現在で「Moneytree」のみ。さらに、「WealthNavi for 住信SBIネット銀行」に口座を保有している必要があるなど、いくつかの条件があります。

運用資産が大きくなればコストメリットも大きいトラノコ

TORANOTEC株式会社が運営する「トラノコ」では、投資信託であるトラノコファンドのファンドマネージャーが投資判断を行います。安定重視の小トラ、バランス重視の中トラ、リターン重視の大トラのなかから運用方針を選べば、あとはトラノコファンドで自動的に運用されます。

月額利用料が300円かかりますが、運用額に応じてかかるコストである運用報酬は0.33%と低め。トラノコWebサイトによれば、運用額39万円以上で、他社平均よりコスト比率が安くなります。

おつりで毎月3.3万円ほど、年間39万円以上投資ができると思うなら選択肢としても考えられるかもしれませんが、運用額が大きくなるのであれば、おつりとして運用しなくても先取りで手数料がかからない投資信託か、ロボアド投資で運用する方法もあるかと思います。

そのあたりのコスト意識を持つことも投資では大切なところです。

トラノコは「MoneyForward」、「Zaim」、「Moneytree」など、複数の家計簿アプリに対応。また、家計簿アプリの代わりに「トラノコおつり捕捉サービス」というトラノコ独自のサービスを使うことでも利用可能です。

日ごろのお買い物のおつりが、気が付いたら増えていたという仕組みを上手に作れると、さらに貯め上手になれそうですね。

◆教えてくれたのは:節約アドバイザー・丸山晴美さん

節約アドバイザー。ファイナンシャルプランナー。22歳で節約に目覚め、1年間で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニの店長などを経て、2001年に節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー(AFP)、消費生活アドバイザー、宅地建物主任士(登録)、認定心理士などの様々な資格を持ち、ライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなどをテレビやラジオ、雑誌、講演などで行っている。

構成/新藤まつり

2023-11-19T22:14:44Z dg43tfdfdgfd