心筋梗塞というと、「ある日いきなり倒れる病気」というイメージが強いですよね。でも実際は違います。血管の中では、何十年も前から少しずつ変化が進んでいます。
脂質がたまり、炎症が起き、血管が硬くなり、ある日ついに詰まる・・・。
結果は突然、原因は長年の積み重ねです。
ここで重要なのが家族歴。
親が50代前半で心筋梗塞を起こしている場合、遺伝的に「血管が傷みやすい体質」を持っている可能性があります。
ある40代男性は、「自分はまだ大丈夫」と思っていました。でも父親が54歳で心筋梗塞。
本人が同じ年齢に近づいた頃、検査すると動脈硬化がかなり進行していた、というケースもあります。
親の発症年齢=自分の安全圏ではない。むしろ、そこが最初の警戒ラインです。
心臓にも“消耗”があります。
次のような生活、思い当たりませんか?
☑︎ 忙しくて朝食を抜く
☑︎ 昼は早食い、夜は遅くて重め
☑︎ 運動は週0
☑︎ ストレスは我慢が基本
☑︎ 健診は「異常なし」だけ確認して終了
これ、40代以降の心臓にはかなり酷です。特に怖いのが、「症状がないから大丈夫」という思い込み。心臓や血管は、かなり悪くなるまで静かです。
実際、心筋梗塞で倒れた人の多くが、「前日まで普通に仕事していた」と言います。だからこそ、症状が出る前にどう扱うかがすべてなんです。
心臓を守るために、極端なことをする必要はありません。大切なのは、続くこと。
「正常範囲」でも、上限ギリギリが続いていないかを見るのがポイントです。
激しい運動より、「座りっぱなしをやめる」。1時間に一度立つだけでも違います。
寝不足と慢性ストレスは、血管を確実に傷めます。「気合い」ではカバーできません。
「父は52歳だったから、自分は45歳から気をつけよう」。この意識を持てるかどうかが、心臓の未来を分けます。
親が心筋梗塞を起こした年齢は、単なる過去の話ではありません。それは、自分への警告であり、準備期間のスタートラインです。
心臓の賞味期限は、
・生活習慣
・数字への向き合い方
・無理の仕方
で、いくらでも延ばせます。
「まだ若いから」ではなく、「今なら間に合うから」動く。それが、自分と家族を守る一番現実的な選択です。
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。
甲斐沼 孟
大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センターや大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センターなどで消化器外科医・心臓血管外科医として修練を積み、その後国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長として地域医療に尽力。2023年4月より上場企業 産業医として勤務。これまでに数々の医学論文執筆や医療記事監修など多角的な視点で医療活動を積極的に実践している。
2026-02-04T10:09:08Z