よくあるのが、目覚ましが鳴ったらすぐに起き上がって動き出すパターンです。
一見問題なさそうですが、これは血管にとってはやや負担の大きい行動です。
寝ている間は血圧が下がっています。
そこから急に立ち上がると、血圧が一気に変動し、血管にストレスがかかります。
特に、高血圧や動脈硬化がある方では、この急激な変化がトラブルの引き金になることもあります。
起床後は、いったん布団の中で軽く体を動かす、ゆっくり起き上がる。
このひと手間だけでも違います。
忙しい朝にありがちなのが、朝食を抜くことです。
「食べないほうが体にいいのでは」と思っている方もいますが、血管の観点では注意が必要です。
朝食を抜くと、次の食事で血糖値が急激に上がりやすくなります。
いわゆる血糖値の乱高下が起こりやすく、これが血管への負担になります。
また、エネルギー不足の状態が続くことで、体はストレス状態に傾きやすくなります。
軽くでもいいので、何か口に入れる習慣は持っておいたほうが無難です。
現代ならではの習慣ですが、これも意外と見逃せません。
起きてすぐにメールやニュース、SNSをチェックすると、脳が一気に活動モードに入ります。
内容によってはストレスがかかり、交感神経が急に優位になります。
すると、血管は収縮し、血圧も上がりやすくなります。
朝のスタートとしては、やや急激すぎる立ち上がりです。
できれば、起床後しばらくは情報を入れすぎず、体と頭をゆっくり起こすほうが理想的です。
寝ている間に、私たちは思っている以上に水分を失っています。
起床時は、軽い脱水状態になっていることも少なくありません。
この状態で水分を取らないまま活動を始めると、血液はややドロッとした状態になります。
血流が悪くなり、血管への負担が増えます。
特に血栓ができやすい状況につながるため、注意が必要です。
起きたらまずコップ1杯の水。
これはシンプルですが、非常に効果的な習慣です。
冬場に多いのが、寒い部屋でいきなり動き出すケースです。
寒さは血管を収縮させます。
その状態で急に動くと、血圧が急上昇しやすくなります。
特に、暖かい布団から冷えた脱衣所や浴室に移動する場面は要注意です。
これはいわゆるヒートショックのリスクにも関係します。
朝はできるだけ室温差を少なくし、体を徐々に慣らしていくことが重要です。
外来で患者さんの話を聞いていると、「ちょっとした工夫で防げたかもしれない」と思う場面が少なくありません。
朝の行動は、ほぼ無意識にルーティン化されています。
だからこそ、見直されることが少ない領域でもあります。
しかし、血管にとってはこの「毎日の積み重ね」が非常に重要です。
難しいことをする必要はありません。
この程度で十分です。
全部を完璧にやる必要はありませんが、一つでも習慣を変えると、体への負担は確実に減ります。
最後に強調したいのは、朝は一日の中でも血管が不安定になりやすい時間帯だということです。
だからこそ、「いきなり全開」で動くのではなく、「徐々に立ち上げる」イメージが大切です。
少しだけ丁寧に朝を過ごす。
それだけで、将来的な血管トラブルのリスクは確実に変わってきます。
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。
甲斐沼 孟
大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センターや大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センターなどで消化器外科医・心臓血管外科医として修練を積み、その後国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長として地域医療に尽力。2023年4月より上場企業 産業医として勤務。これまでに数々の医学論文執筆や医療記事監修など多角的な視点で医療活動を積極的に実践している。
2026-04-07T21:54:12Z