痩せにくいのはなぜ?管理栄養士が教える〈健康的に痩せる食事〉代謝が下がる原因と代謝を上げる方法

代謝ってなに?

「代謝が落ちている」「代謝アップ」という言葉をよく耳にしますね。代謝とは、基礎代謝のこと。呼吸や心拍、体温の維持など生命活動に必要なエネルギーを指します。生きるために使われるエネルギーなので、運動していないとき、眠っているときも消費されています。

1日に消費されるエネルギーの約60%にも当たる基礎代謝。そのため基礎代謝量が多い、いわゆる「代謝がいい」ほどたくさんのエネルギーが消費されるため、痩せやすいといえます。 

反対に基礎代謝量が少ない、つまり「代謝が悪い」状態であればエネルギーがあまり消費されず、痩せにくくなるのです。

代謝が下がる原因

基礎代謝が低下する原因は、次のとおりです。 

・加齢

・不規則な生活

・偏った食事

基礎代謝がもっとも高いのは10代で、歳を重ねるにしたがって低下します。基礎代謝は筋肉量による影響を受けやすく、加齢に伴い筋肉量が減少するため代謝も低下すると考えられています。

暴飲暴食が続いたりストレスがたまったりすると起こる、自律神経の乱れ。自律神経とは呼吸や体温調整など、生きるために必要な機能の維持に働く神経のことです。そのため自律神経は基礎代謝にも関わっています。不規則な生活や慢性的なストレスにより自律神経のバランスが崩れた際にも、基礎代謝は低下するのです。

ダイエットのために食事制限をしたり、仕事が忙しくてきちんと食事を取れなかったりした場合も、基礎代謝に影響が及びます。エネルギー不足が続くと、少ないエネルギーでも生命を維持できるように、体は基礎代謝を下げようとするのです。

基礎代謝の低下は体脂肪の蓄積をまねきます。さらに体の各所でエネルギーの利用が滞り、冷え性、肌荒れ、便秘、疲れやすくなるなどの悪影響が現れるでしょう。

代謝を上げて、痩せやすく健康な体に

基礎代謝を高めるために意識したい行動は、次のとおりです。 

・筋肉量を増加させる運動

・栄養バランスのよい食事

・体を温める食品の摂取

・十分な水分補給

・入浴

・規則正しい生活とストレス解消

筋トレなどで筋肉量を増やすと、基礎代謝は高まります。運動習慣がない方は、生活のなかでより多く体を動かすことをまずは意識しましょう。駅や職場で階段を使う、通勤時に一駅分歩く、大股で速く歩くといったことでかまいません。スマホの万歩計アプリを利用して、1日の歩数をチェックするのもおすすめです。 

食事では、筋肉の材料になるたんぱく質の摂取を心掛けましょう。ただし豚肉や牛肉には、中性脂肪やコレステロールも含まれます。魚や卵、大豆製品、乳製品などさまざまな食材から摂取してください。

摂取したたんぱく質から筋肉を作るには、ビタミンとミネラルのサポートが必要です。野菜や海藻、果物などもバランスよく食べましょう。またエネルギー不足も基礎代謝の低下につながるため、適量のご飯を食べて糖質もきちんと摂取してください。

体温が上がると基礎代謝も高まります。温かい料理を食べることはもちろん、体を温める作用がある食材を取り入れることも効果的です。 

唐辛子や生姜を食べると、体の中からぽかぽかしてきますね。アーモンドやかぼちゃに含まれるビタミンEには血管の拡張作用があるため、血行がよくなり体温が上がります。玉ねぎやにんにくの香り成分である硫化アリルは、交感神経を刺激することで体温を上げるでしょう。

水分を十分に補給すると、血流が促進されて基礎代謝が上がります。湯船に浸かって体を温めること、生活リズムを整えたりストレスを解消したりして自律神経を整えることも、基礎代謝アップに効果が期待できます。

基礎代謝が低下して肥満になると、さまざまな疾患のリスクが高まります。加齢と共に、どうしても低下する基礎代謝。だからこそ、意識的に基礎代謝を高める生活を送るように努めましょう。

 

【参考文献】

厚生労働省 e-ヘルスネット「身体活動とエネルギー代謝」

厚生労働省 e-ヘルスネット「加齢とエネルギー代謝」

いしもとめぐみ

管理栄養士。国立大学文学部を卒業後、一般企業勤務を経て栄養士専門学校に入学し、栄養士資格を取得。病院給食、食品メーカーの品質管理、保育園栄養士を経験して2022年に独立。食が楽しくなるレシピを発信するほか、栄養・健康分野の記事執筆を中心に活動中。

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