春は、寒暖差や気圧の変化が起こりやすい季節です。
日本では春に低気圧と高気圧が交互に通過し、天気や気温が数日の周期で変わりやすくなります。
こうした環境の変化に対応するために、体は自律神経やホルモンの働きを使ってバランスを保っています。
ただ、変化が重なる時期は、体にとって負担になりやすく、疲れやすさや眠りの浅さ、なんとなく落ち着かない感じにつながることもあります。
このとき関わるホルモンのひとつが、コルチゾールです。
コルチゾールの主な役割は、以下のようなものです。
・血糖の維持
・覚醒や活動のサポート
・炎症の調整
コルチゾールは本来、体を守るために必要なホルモンです。
ただし、ストレス状態が長く続くと、その影響で
・疲れやすさ
・睡眠の質の低下
・甘いものやこってりしたものへの欲求
・食欲や体調のゆらぎ
などが起こることがあります。
研究でも、慢性的なストレスとコルチゾール、食欲や体調変化との関係が報告されています。
春に疲れやすい人の食事を見ていると、共通しているのは食事量そのものよりも、必要な栄養素が不足しやすいことです。
特に意識したいのが
・タンパク質
・マグネシウム
・鉄
・ビタミンB群
です。
これらは、エネルギー代謝や神経の働き、酸素の運搬などに関わる大切な栄養素です。
例えば、タンパク質は体のさまざまな材料になります。
ビタミンB群はエネルギー代謝に関わり、鉄は酸素を運ぶ働きに、マグネシウムはエネルギー産生に関わります。
つまり、栄養の偏りがあると、疲れやすさやストレスへの対応力の低下につながることがあります。
相談の中でよく見かけるのが、
朝)コーヒーのみ
昼)パンや甘いもの
夜)普通の食事
というパターンです。
このような食べ方は、糖質に偏りやすく、タンパク質やミネラルが不足しやすくなります。
その結果、血糖変動が大きくなりやすく、だるさや集中しづらさにつながることがあります。
血糖が下がると、体はそれを保とうとしてホルモンを使って調整します。
コルチゾールもその働きに関わっているため、食事の乱れが続くことは、体の負担につながる可能性があります。
春におすすめしたいのは、特別な食事ではなく、血糖を急に上下させにくく、足りない栄養を少し補える食べ方です。
ポイントは3つです。
① 手軽なタンパク質
・卵
・味噌汁
・豆腐、豆乳
・納豆
など
朝にタンパク質を少し足すことで、食事のバランスが整いやすくなります。
高たんぱくの朝食は、食後血糖の安定に役立つ可能性もあります。
② 温かいものを取り入れる
・味噌汁
・白湯
・豆乳
忙しい朝や疲れているときほど、温かいものは取り入れやすいものです。
白湯は水分補給に、味噌汁や豆乳は栄養補給にもつながります。
特に味噌には、大豆由来のタンパク質やミネラル、発酵の過程で生まれる成分が含まれています。
③ 甘いものは「種類」より「量と食べ方」を意識する
・ハチミツ
・甘酒
・果物
・小豆などを使った自然な甘み
甘いものが欲しくなるときに、ただ我慢するのではなく、食べ方を整えることも大切です。
ただし、ハチミツや甘酒も糖質を含むため、体にやさしいと決めつけるのではなく、量を控えめにしながら、食事全体の中で取り入れるのがおすすめです。
精製された砂糖をとりすぎる食生活は、血糖変動を大きくしやすいため、結果として体の負担につながることがあります。
甘味は、種類だけでなく、量や組み合わせも意識できると安心です。
日々お客様を見ていると、疲れている人ほど
・スマホと時間に追われている
・冷たい飲み物をよくとっている
・味の濃い食べ物を選びがち
という傾向があるように感じます。
もちろん、これは医学的な診断ではなく、あくまで日々お店に立つ中での実感です。
でも、忙しさが続いている人ほど、食べることが「整える時間」ではなく、「とりあえず済ませるもの」になっているように見えることがあります。
当店では、お食事の最初に自家製の酢を入れた温かい白湯をお出ししています。
すると、それだけで「ほっとした」と言っていただくことがよくあります。
温かいものをひと口飲んで、少し力が抜ける。
その様子を見るたびに、食事は栄養をとるだけでなく、気持ちをゆるめる時間にもなるのだと感じます。
体が安心しやすい状態に戻る、ひとつのきっかけなのかもしれません。
春の不調は、「気圧」「ストレス」「栄養状態」など、いくつもの要因が重なって起きます。
そんなときは、呼吸を整えること、食事を整えること。
それだけでも、体は少しずつ回復しやすくなります。
春は、体を整え直す季節。
焦らず、今の体の声を聞いてみてください。
松田 真紀
1972年、兵庫県生まれ。管理栄養士。日本抗加齢医学会認定指導士。アスリートフードマイスター3級。女子栄養大学卒業。株式会社バードワークス代表取締役。1994年、明治乳業株式会社入社。その後、電通など広告代理店勤務を経て、2014年、スポーツと健康に特化した「食プロデュース」を行なう株式会社バードワークス設立。自ら18才から15年以上20kgの体重増減、摂食障害に。苦しいダイエット生活の末辿り着いた、外食、コンビニ、レンチン、OK!ラクして食事を楽しむダイエットを提案する管理栄養士として300以上の施設団体など多方面で活躍中。著書『居酒屋ダイエット』(三笠書房)。趣味はトライアスロン、100kmウルトラマラソン、フルマラソン、全米ヨガアライアンス200習得中。
2026-04-04T09:08:46Z