2026年版「世界幸福度報告書」で4位となったコスタリカには、長寿地域として知られるニコヤ半島もあります。ただし、コスタリカの人々が長寿なのは「特定の食べ物のおかげ」という単純なものではありません。
実際、長寿には食事だけでなく、身体活動、生活環境、人とのつながりなど、さまざまな要因が関係すると考えられています。
そこで今回は、コスタリカをはじめとする温暖な地域の食卓からヒントを得ながら、日本でも取り入れやすい「果物の食べ方」を考えてみましょう。
「果物は糖質が多いから」とむやみに避けたり、逆に「体にいいから」と大量に食べたりする必要はありません。
ポイントは、ジュースだけに頼らず、果物そのものを適量取り入れることです。
暑い日が続くと、そうめんやパンだけで食事を済ませたり、食欲がなくて食事量そのものが減ったりすることがあります。
そんなとき、果物は水分を多く含み、種類によってカリウムやビタミンC、食物繊維なども摂ることができる食品です。
ただし、「暑い国で食べられているから体を冷やす」「夏バテを治す」というものではありません。
大切なのは、果物だけに頼るのではなく、野菜、豆類、穀類、魚や肉、卵、乳製品などと組み合わせながら、食事全体を整えることです。
バナナ、マンゴー、パパイア、パイナップルなどには、水分に加えてカリウムなどのミネラルが含まれています。
カリウムは、体内のナトリウムの排出に関わり、血圧の調整にも関係する栄養素です。
ただし、汗をたくさんかく季節の水分・電解質補給を果物だけでまかなえるわけではありません。熱中症予防では、こまめな水分補給や適切な暑さ対策が基本です。
長寿地域として研究されてきたニコヤの伝統的な食事には、米や豆などの食品が多く登場します。
果物だけに注目するよりも、豆類や野菜、穀類など、多様な植物性食品を組み合わせて食べることがポイントです。
豆類や野菜、果物には食物繊維が含まれており、食物繊維は腸内細菌によって利用されるものもあります。
特定の「善玉菌」だけを増やすことを狙うのではなく、さまざまな食品から食物繊維を摂ることが、腸内環境を考えるうえでも大切です。
忙しい朝などには、ジュースやスムージーで手軽に果物を摂りたくなることもありますよね。
ジュースを絶対に飲んではいけないわけではありません。
ただ、普段の果物の摂り方としては、ジュースだけに頼るよりも、果肉をそのまま食べる方法がおすすめです。
果物には、ビタミンやミネラルだけでなく、食物繊維も含まれています。
果汁を搾ったタイプのジュースでは、製造工程で食物繊維が少なくなることがあります。一方、果物そのものなら、果肉とともに食物繊維を摂ることができます。
なお、スムージーは果肉を丸ごとミキサーにかけるものもあるため、ジュースと一括りにはできません。商品によって砂糖などが加えられている場合もあるので、原材料表示を確認しましょう。
果物は噛んで食べますが、ジュースにすると短時間で多くの量を飲むことができます。
WHOでは、100%果汁を含む果汁中の糖も「遊離糖(free sugars)」として扱い、摂りすぎに注意するよう呼びかけています。
果物を日常的に摂るなら、ジュースだけでなく、そのまま食べる習慣をつくるのがおすすめです。
健康日本21(第三次)では、果物の摂取量として1日200gを目標としています。
200gは、おおよそ中くらいのりんごなら1個、バナナなら2本、みかんなら2個程度が目安です。
果物の摂取量が少ない日本人にとっては、「糖質が気になるから食べない」と避けるより、まず適量を日々の食事に取り入れることを考えてみましょう。
ただし、糖尿病などで食事について指示を受けている場合は、量やタイミングについて医師や管理栄養士に相談してください。
今回紹介するレシピでは、果物にお酢やオリーブオイルを組み合わせます。
「この3つを一緒に食べれば老化を防げる」という意味ではありません。
ただ、甘みのある果物に酢の酸味を合わせると味が引き締まり、砂糖をたくさん加えなくても満足感のある一品をつくりやすくなります。
お酢に含まれる酢酸については、炭水化物を含む食事と一緒に摂った際、食後の血糖上昇が緩やかになったという小規模な研究があります。
ただし、食べれば必ず血糖値が下がるわけではなく、糖尿病の治療の代わりになるものでもありません。
「血糖値対策のために酢をたくさん摂る」のではなく、料理の味付けのひとつとして上手に活用しましょう。
オリーブオイルやナッツには、不飽和脂肪酸が含まれています。
脂質はエネルギー量も高いため多ければよいわけではありませんが、少量をサラダなどに組み合わせることで、味にコクが出て満足感のある一品に仕上がります。
「食前に油を摂れば血糖値の上昇をブロックできる」というものではないので、あくまで食事全体のバランスを意識しましょう。
コスタリカでは、バナナ、パパイア、マンゴー、パイナップルなど、さまざまな果物が身近です。
一方、日本では「生の果物は高くて毎日は続けにくい」と感じる人もいるでしょう。
そんなときは、冷凍フルーツや、一年を通して比較的手に入りやすいバナナを活用するのもひとつの方法です。
冷凍したからといって、果物の栄養がなくなるわけではありません。
食品によって違いはありますが、冷凍した果物や野菜でも食物繊維やミネラルなどの多くは保持され、ビタミンについても生鮮品と大きな差がない場合があります。
砂糖やシロップが加えられていない、果物そのものを冷凍した商品を選ぶと日常使いしやすいでしょう。
冷たい果物を食べる気分ではない日は、バナナを焼いて楽しむ方法もあります。
加熱すると食感がやわらかくなり、甘みを感じやすくなるのも魅力です。
「加熱すると腸活効果が高まる」とまでは言えませんが、果物の食べ方のバリエーションを増やす方法としておすすめです。
ここからは、バナナや冷凍マンゴーを使った、簡単に作れるフルーツレシピを紹介します。
「必ず食前に食べなければならない」というものではありません。朝食や副菜、おやつなど、自分の食生活に合わせて取り入れてみてください。
フライパンで焼いたバナナに、レモン汁の代わりにりんご酢や米酢を少量プラス。
温かいバナナの甘みと、お酢の爽やかな酸味が楽しめる一品です。
【材料(1人分)】
【3ステップレシピ】
マンゴーの甘みとアボカドのまろやかさを組み合わせた、彩りのよいサラダです。
マンゴーからはβ-カロテンやビタミンCなど、アボカドからはビタミンEや不飽和脂肪酸などを摂ることができます。
冷凍マンゴーを活用すれば、果物を切る手間も減らせます。
【材料(2人分)】
【A】ドレッシング
【3ステップレシピ】
果物には、ビタミンやミネラル、食物繊維などが含まれています。
だからといって、「この果物を食べれば腸内細菌が変わる」「血糖値が下がる」「老化を防げる」と、一つの食品に大きな効果を期待する必要はありません。
大切なのは、毎日の食事の中で果物や野菜、豆類、穀類などさまざまな食品を取り入れること。
日本では、果物の摂取量が目標に届いていない人が多いこともわかっています。
生の果物が高いときは冷凍フルーツを活用する。冷たいものを食べたくない日はバナナを焼いてみる。ジュースだけで済ませず、ときには果物そのものを噛んで味わう。
そんな無理のない方法で、残暑の食卓にも果物を取り入れてみてはいかがでしょうか。
松田 真紀
1972年、兵庫県生まれ。管理栄養士。日本抗加齢医学会認定指導士。アスリートフードマイスター3級。女子栄養大学卒業。株式会社バードワークス代表取締役。1994年、明治乳業株式会社入社。その後、電通など広告代理店勤務を経て、2014年、スポーツと健康に特化した「食プロデュース」を行なう株式会社バードワークス設立。自ら18才から15年以上20kgの体重増減、摂食障害に。苦しいダイエット生活の末辿り着いた、外食、コンビニ、レンチン、OK!ラクして食事を楽しむダイエットを提案する管理栄養士として300以上の施設団体など多方面で活躍中。著書『居酒屋ダイエット』(三笠書房)。趣味はトライアスロン、100kmウルトラマラソン、フルマラソン、全米ヨガアライアンス200習得中。
2026-08-30T21:08:58Z